近年、物流業界で注目を集めているのが「トラガール（女性ドライバー）」の存在です。
ドライバー不足が深刻化する中、女性の力を必要とする動きが高まっています。
「女性ドライバーは実際どれくらいいるの？」「未経験でも大丈夫？」「働きやすさや待遇は？」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、女性ドライバーの現状と今後の可能性について詳しくご紹介します。
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活躍している女性ドライバーはどれくらいいる？
近年、物流や輸送業界でも「多様な人材の活躍」が求められる中、女性ドライバー＝“トラガール”への注目が高まっています。
とはいえ、実際のところどれくらいの女性がこの業界で働いているのでしょうか？
ここでは、統計データや採用の現状をもとに、女性ドライバーの実態を詳しく見ていきます。
業界全体での女性比率は非常に低い
現在、トラックドライバーとして働く女性の割合は全体の約2.5％にとどまっており、圧倒的に男性が多数を占めています。
この比率は、他の業界と比較してもかなり低い水準です。
しかしながら、この“希少性”が逆に注目を集めており、「女性ならではの気配り」や「丁寧な対応」を評価する企業が増えているのも事実です。
女性ドライバーの存在は、これからの物流業界の重要な戦力として期待されています。
大型免許保有者の増加が追い風に
厚生労働省のデータによると、2024年末（令和6年12月31日）時点における 第一種大型免許（大型自動車免許）を保有している女性は、約 138,900人と報告されています。
この数字は、過去と比較して確実に増加傾向にあり、「運転の仕事に興味を持っている女性」が着実に増えていることを示しています。
ただし、免許は取得していても実際に業界で働いている人はまだ少数派です。
つまり、「免許は持っているけれど、一歩踏み出せない女性」が一定数存在しているという背景があるのです。ここに業界拡大のチャンスが隠れています。
企業も採用に積極的に動いている
運送会社を対象とした調査では、「女性ドライバーの採用に積極的である」と回答した企業は全体の24.3％にのぼっています。
これは、企業側が女性人材の活用に大きな可能性を見出していることの表れです。
一方で、「応募がほとんどない」「そもそも興味を持たれていない」といった声も多数挙がっており、実に7割以上の企業が“採用の壁”を感じているという実態もあります。
つまり、業界全体としては「女性に来てほしい」という姿勢がある一方、女性側には「大変そう」「自分にできるか不安」といった心理的ハードルが立ちはだかっているのです。
このギャップをどう埋めていくかが、今後の大きな課題といえるでしょう。
女性ドライバーが活躍している職場
「ドライバーは男性の仕事」というイメージは、もはや過去のものになりつつあります。
実際に現場では、女性ならではの強みを活かして働くドライバーが年々増加中です。
国の後押しもあり、女性が活躍しやすい職場環境の整備が着実に進んでいます。
ここでは、女性ドライバーが実際に活躍している職場の特徴や制度について紹介します。
国交省による「トラガール促進プロジェクト」
女性が安心して運送業に飛び込めるよう、国土交通省は2014年より「トラガール促進プロジェクト」を展開しています。
これは、女性ドライバーの増加を目指して、業界のイメージ刷新や職場環境の改善を支援する取り組みです。
具体的には、女性ドライバーのロールモデルを紹介したり、企業向けに環境整備のノウハウを発信したりと、女性採用を後押しするさまざまな活動が行われています。
最近では、動画やSNSを使った情報発信にも力を入れており、若年層へのリーチも強化中です。
これにより、「トラックの仕事＝男性中心」というイメージが徐々に塗り替えられつつあります。
参照記事：https://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/
女性向けの設備が整っている職場
女性が安心して働ける環境づくりの一環として、女性専用トイレや更衣室、仮眠室などを整備する企業が増えています。
これらは単なる設備ではなく、働く人の心理的な安心感にもつながる重要な要素です。
また、トラック自体も改良が進んでおり、座席の高さ調整やミラー位置、ハンドルの太さなど、女性の体格に合わせた仕様の車両が導入され始めています。
これにより、身体的な負担が減り、長く働ける環境が整いつつあります。
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高収入を実現している女性も多数
運送業は、性別によって賃金が大きく左右されにくい職種のひとつです。
実力と勤務状況次第で、男女問わず高収入を目指せるのが大きな特徴です。
実際、X Mile社が実施した調査では、女性ドライバー135名のうち、22％が全国平均年収（約460万円）を超えており、最高年収はなんと800万円以上です。
女性ドライバーになるために必要な資格
「トラックドライバーって、特別な資格が必要なのでは？」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、実は意外と始めやすいのがこの仕事。
もちろん車両のサイズによっては専用の免許が必要になりますが、働きながらステップアップしていく人も多く、企業側も資格取得をサポートする制度を整えています。
ここでは、女性がドライバーとして働くために必要な資格と、現場での研修体制についてご紹介します。
準中型免許から始められる
まず注目したいのが、2017年に新設された「準中型免許」です。
これは、18歳以上であれば普通免許の延長線上で取得でき、車両総重量3.5トン〜7.5トン未満のトラックが運転可能になります。
いわゆる2トントラックでの配送など、街中でよく見かける業務には十分対応できるため、初心者にも人気のある免許です。
女性でも運転しやすいサイズ感の車両が多く、「いきなり大型はちょっと不安…」という方の第一歩として最適です。
中型・大型・フォークリフトなどのステップアップ
より多くの荷物を運んだり、長距離輸送に挑戦したい場合は、中型・大型免許の取得が必要になります。
中型免許では最大11トン未満、大型免許では11トン以上の車両が運転可能になります。
フォークリフト免許を併せて取得すれば、倉庫内作業との兼業や荷下ろしの際に重宝され、仕事の幅が大きく広がります。
最近では、資格取得を希望する従業員に対し「取得費用を全額会社が負担する」といった支援制度を導入している企業も多く、キャリアアップしやすい環境が整ってきています。
安全教育と研修体制の整備
「未経験でも大丈夫？」という不安に対して、多くの企業では安心してスタートできる仕組みを整えています。
たとえば、採用後に受けられる初任運転者研修や安全運転講習、適性診断などがあり、現場での実践に入る前にしっかりと準備ができます。
また、同乗研修やOJT制度を取り入れ、先輩ドライバーが実際のルートや注意点を丁寧に教える文化が根づいている企業も増えています。
女性ドライバーが働きやすい職場の選び方
運送業界での活躍が注目されている女性ドライバーですが、「どんな職場なら自分らしく働けるのか」はとても重要な視点です。
仕事自体にやりがいを感じても、職場環境が整っていなければ、長く続けるのは難しくなります。
特に、設備や勤務スタイル、教育体制などは職場によって大きく差があるため、就職や転職の際にはしっかり確認しておきたいところです。
ここでは、女性ドライバーが働きやすい職場を選ぶためのチェックポイントを紹介します。
女性設備の充実度を確認
まず注目したいのは、女性専用設備の有無です。
トラック運転手の仕事は拘束時間が長くなる場合もあり、休憩や仮眠の環境が整っているかどうかは、働きやすさに直結します。
具体的には、女性専用のトイレや更衣室、仮眠室、シャワールームなどがあるかをチェックしましょう。
特に長距離輸送を行う企業では、拠点ごとに女性が使える施設が整備されているかも確認ポイントです。
また、車両自体に女性ドライバーを想定した設計（座席の高さ調整、収納スペース、暖房器具の使いやすさなど）がされているかも、業務中の快適さに関わってきます。
働き方の柔軟性があるか
「家庭と両立したい」「夜勤は難しい」といったライフスタイルの制約がある場合、働き方の柔軟性があるかどうかは非常に大きな要素です。
最近では、時短勤務や日勤・夜勤の選択制度、中継輸送（バトンリレーのようにドライバーが交代して荷物を運ぶ方式）などを取り入れ、多様な働き方を認めている企業も増えてきました。
これにより、「子育て中でもムリなく働ける」「長距離ではなく地場配送中心の働き方を選べる」といった選択肢が生まれています。
教育体制やハラスメント対策もチェック
未経験からスタートする方にとっては、研修制度や資格取得支援の有無が非常に重要です。
「入社後すぐに現場に出されるのでは？」という不安を感じている人でも、OJT制度や座学研修、同乗研修を設けている企業であれば、段階的に業務に慣れていけます。
また、職場の人間関係や風通しの良さ、ハラスメント対策への取り組みも、女性が安心して長く働くうえで欠かせない要素です。
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女性ドライバーが感じるやりがいと課題
女性が運送業界に進出する機会が増えてきたとはいえ、実際に働いてみて初めて感じる「やりがい」や「難しさ」はあります。
仕事の中で得られる喜びと、現場で直面する課題です。
その両面を知っておくことで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。
ここでは、女性ドライバーたちが実際に感じているリアルな声をもとに、仕事の魅力と、乗り越えるべき壁を整理してみましょう。
社会貢献の実感と達成感
ドライバーの仕事は、単に荷物を運ぶだけではありません。
お客様のもとに荷物を「確実に、丁寧に」届けることで、生活を支える大切な役割を担っています。
「この荷物が届いて助かりました」「ありがとう、いつも助かってるよ」こうした感謝の言葉を直接受け取る瞬間が、やりがいに変わると多くの女性ドライバーは語ります。
また、自分のペースで黙々と仕事に集中できる環境も、「人間関係のストレスが少ない」として魅力に感じる人が多いポイントです。
体力面・安全面への対策も進行中
ドライバーというと「力仕事」のイメージが強く、体力的な不安を抱える女性も少なくありません。
しかし実際には、パワーゲート付きのトラックやカゴ車の導入など、積み下ろし作業の補助機器が充実してきています。
さらに、バックモニターや自動ブレーキ装置など安全支援技術の進化によって、安全面でのサポートも年々強化されています。
体力に自信がないのですが、重い荷物など運べるか不安です…
と、いうように「本当に女性でもやっていけるか」と不安を感じるかと思います。
実際に現場で働く女性ドライバーの声を聞いてみましょう。
育児や家庭との両立も可能に
「子育て中だから長時間の勤務は難しい」「家族の予定に合わせて働きたい」といったニーズにも応える体制が、近年では少しずつ整ってきています。
具体的には、短時間勤務制度や急な休みに対応するチーム体制など、家庭と両立しながら働くための配慮がある企業も増加中です。
業界全体の信頼性にも注目を
女性ドライバーとして安心して働ける職場を選ぶには、「社内制度」や「設備」だけでなく、企業そのものが法令を順守し、安全管理に真摯に取り組んでいるかにも注目する必要があります。
日本郵便に“許可取り消し”という異例の処分
2025年6月、日本郵便は全国約95局におけるドライバーの点呼（酒気・体調・車両状態など）の不備が問題視されています。
国土交通省から 一般貨物自動車運送事業の許可取り消し処分 を受け入れることを発表しました。
これは運送業界として非常に異例の措置です。
配送への影響と信頼のゆらぎ
これにより、日本郵便が保有する約2500台の貨物車の一部が今後5年間使えなくなり、物流体制にも大きな影響が及びます。
配送の大部分は子会社や民間業者に委託される予定ですが、企業の信頼が揺らいだことは間違いありません。
安全管理と労働環境はセットで見るべき
このような事例からも分かるように、ドライバーが安心して働くには、会社側の姿勢が非常に重要です。
どれだけ設備が整っていても、安全確認が軽視される職場では安心して働き続けることはできません。
とくに未経験の女性が運送業に飛び込む際には、研修制度だけでなく、安全管理体制や法令順守意識の高さも、企業選びの大きな判断材料になります。
まとめ
女性ドライバーの割合は、まだ全体の2〜3％と少数派です。
しかしその一方で、企業の採用意欲は年々高まっており、女性ならではの細やかな気配りや対応力が重宝される現場も増えてきました。
必要な資格は段階的に取得でき、免許の取得支援や充実した研修制度など、未経験者でも安心して始められる環境が整いつつあります。
体力面・安全面への配慮、柔軟な勤務体系、そして育児や家庭と両立しやすい仕組みも確実に広がっています。
「女性にこそ向いている仕事」「人の役に立てる実感が大きい仕事」として、物流業界は今まさに変わりつつあります。
あなたの次のキャリアの一歩として、「運送ドライバー」という選択肢を、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
また、こちらの動画では実際に働く女性ドライバーの一日に密着し、どのような仕事内容なのかを詳しく紹介しています。
実際の働き方が気になる方は是非チェックしてみてください。
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